空き家問題の本質は「売主(所有者)の意識」にある|富山の不動産現場で感じていること

夕暮れの日本の住宅地で、古い戸建住宅を前に立ち止まり、これからどうするか考えている家族の後ろ姿のイラスト
「空き家が増えているのは、不動産が売れないからだ」
そう思われがちですが、富山市で空き家相談を受けていると、少し違う景色が見えてきます。
現場で感じるのは、
空き家問題の本質は“売れないこと”ではなく、“向き合うタイミングを失っていること”にある、という点です。
この記事では、制度や業者の良し悪しではなく、
実際の空き家相談の現場で見えてきた「なぜ止まってしまうのか」を整理してお伝えします。

① 空き家は「売れない」から放置されているわけではない

空き家が放置される理由として、
「古いから売れない」
「立地が悪いから無理」
といった声を聞くことがあります。
ですが実際には、
  • 売れるかどうかを調べていない
  • 誰にも正式に相談していない
  • 判断を先送りにしている
という状態のまま、時間だけが過ぎているケースが非常に多くあります。
つまり、
売れないから放置されたのではなく、決めきれないまま止まっている
というのが実情です。

② 空き家が生まれやすい「人生のタイミング」がある

空き家が発生するタイミングを見ていると、ある共通点があります。
それは、
実家の両親が亡くなる頃、子ども世代は40代〜50代であることが多い
という点です。
この年代は、
  • 仕事で責任が重くなる
  • 子育てや進学の時期と重なる
  • 親の介護や自分の家庭で手一杯
という、人生の中でも特に忙しい時期です。
さらに、
  • 実家が遠方にある
  • 普段は帰省するだけだった
  • 不動産のことを考える余裕がない
こうした状況が重なると、
空き家の問題はどうしても後回しになりやすくなります。
これは個人の怠慢ではなく、
今の社会構造の中ではごく自然に起きてしまうことだと感じています。

③ 「誰も悪くない」からこそ、決まらない

空き家問題は、所有者本人だけの問題ではありません。
よくあるのが、
  • 親は「まだ自分の家だから」と考えている
  • 子どもは「気を遣って言い出せない」
  • 兄弟姉妹で意見が揃わない
といった、人間関係が絡んだ状態です。
誰かが悪いわけではありません。
ただ、全員が遠慮し合った結果、
「誰も決めない」という状態が生まれてしまいます。
この状態が、一番長く続きます。

④ 「そのうち考える」が、一番状況を悪くする

空き家相談でよく聞く言葉があります。
  • そのうち考えます
  • まだ急いでいないので
  • 今は忙しくて
気持ちはとてもよく分かります。
ただ、不動産は時間が経てば良くなることはほとんどありません。
  • 人が住まなくなると建物は急激に傷む
  • 庭木や雑草が繁茂する
  • 近隣との関係が悪化する
  • いざ動こうとした時には選択肢が減っている
考えていない時間も、不動産は確実に進行しています。
実際、
👉 施設入所をきっかけに早めに動いたことで
 選択肢が多いまま売却できたケースもあります。
(参考記事)

⑤ 「面倒くさい」からこそ、一括査定が選ばれるのも自然

正直なところ、
相続した空き家や不動産のことを考えるのは、かなり億劫です。
超・面倒くさい。
  • 何から手を付ければいいかわからない
  • 関係者が多くて調整が大変
  • 専門用語が多くて疲れる
だからこそ、
「入力するだけで話が進みそう」
そんな一括査定サイトが一定の地位を築いているのも、よく分かります。
一方で現場では、
  • 査定は取ったが、その後どうしていいかわからない
  • 連絡が多すぎて逆に疲れてしまった
  • 結局、何も決まらず時間だけが過ぎた
という声も少なくありません。
不動産は、
ワンクリックで完結するほど単純ではない一方で、
一人で抱えるには重すぎる問題でもあります。

⑥ 不動産屋の役割は「売らせること」ではない

不動産屋というと、
「とにかく売らせようとする存在」
そんなイメージを持たれる方も少なくありません。
ですが、本来の役割は違います。
  • 現状を整理する
  • 選択肢を並べる
  • 現実的な順番を示す
決めるのは、あくまで所有者です。
私たちは、
「決断を迫る存在」ではなく、
決められる状態をつくるための伴走者でありたいと考えています。
売却だけでなく、
「今は売らない」「まず管理する」という判断も含めて整理することがあります。
(空き家管理についてはこちら)

⑦ 空き家が流通すると、人と地域が動き出す

空き家が流通すると、
  • 新しい人が住む
  • 明かりが灯る
  • 近隣との関係が回復する
地域は、確実に少しずつ活気を取り戻します。
空き家問題は、
個人の問題であると同時に、地域の問題でもあります。

まとめ|必要なのは「完璧な決断」ではなく、最初の一歩

空き家問題の本質は、
売主(所有者やその関係者)の意識にあります。
ただし、それは責任や非難の話ではありません。
  • 忙しくて手が回らない
  • 気持ちの整理がつかない
  • 誰に相談していいかわからない
とても自然なことです。
だからこそ、
先送りせずに一度整理してみることが大切です。
私たちは、
面倒なことを横で一緒に考え、
順番を整理し、
必要なところだけをサポートする存在でありたいと思っています。
空き家は、
決めた瞬間に動き出します。
必要なのは強い決断ではなく、
現状を見直す最初の一歩です。
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