「まだ元気だから、今すぐ考えなくてもいい」
「親の気持ちを思うと、売却の話は切り出しにくい」
富山市で空き家や不動産のご相談を受けていると、
こうした声をよく耳にします。
ですが、現場で多くのケースを見ていると、
施設に入るタイミングこそ、不動産を一度整理しておいた方がいい
と感じる場面が少なくありません。
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理由① 施設に入ると「売れなくなる」可能性が一気に高まる
不動産を売却するには、
所有者本人の意思表示が必要です。
ところが、
- 施設への入所
- 環境の変化
- 認知症の進行
といったことが重なると、
売却の意思表示ができなくなるケースがあります。
実際に私の祖父母も施設入所後1年経たず認知症が進行しました。
この状態になると、
- 家族であっても勝手に売れない
- 成年後見制度の検討が必要
- 売却が事実上ストップする
という状況に入ります。
なお、成年後見制度を使えば必ず売れる、
というわけでもありません。
自宅不動産については、
裁判所の許可が下りないケースもあります。
また、近年よく耳にする家族信託についても、
- 初期費用が高額になる
- すべての家庭に向いているわけではない
という現実があります。
こうして手続きを進めたとしても、
結果的に長期間、売却できない状態が続くことも珍しくありません。
実際には、
10年以上不動産が動かないケースもあります。
その間も、
- 固定資産税
- 火災保険
- 管理の手間
といった負担だけは、確実に続いていきます。
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理由② 富山では「解体した方が損」になることも多い
地方では、
古い家は壊して土地で売るもの
と思われがちです。
ですが富山では、
- 解体費
- 家財撤去費
が、土地の価格を上回るケースも少なくありません。
つまり、解体したらお金は出ていくのに土地を売っても元がとれない、
それどころか土地が売れずに残ることも多いという現実があります。
そのため富山では、
- 建物付き
- 現状のまま
での売却ニーズが、一定数残っています。
だからこそ、
建物の状態が良いうちに売る
という判断が、結果的に有利になることがあります。
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理由③ 建物は「人が住まなくなった瞬間」から急激に傷む
建物は、
人が住んでいることで保たれている部分が多くあります。
人が住まなくなると、
- 換気されない
- 水を流さない
- 日常的な目配りがなくなる
これだけで、劣化は一気に進みます。
具体的には、
- カビの発生
- 配管の詰まりや破損
- 雨漏りの顕在化
- シロアリ被害
- 庭木や雑草の繁茂による近隣トラブル
といった問題が起こりやすくなります。
「まだ住めた家」が、
数年後には
「手を入れないと使えない家」になってしまうことも珍しくありません。
時間が経つほど、
売却条件は確実に悪くなっていきます。
現場の感覚としては空き家になって1年以内の売却が好ましいと思います。
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実際に動くのは子ども世代だが、そこで止まることが多い
こうした状況で実際に動くのは、
親ではなく子ども世代であることがほとんどです。
ただ、多くの方がここで立ち止まります。
親の気持ちを考えると、処分できない
まだ生きているのに、家を手放すのは申し訳ない
その気持ちは、とても自然です。
ですが、
何も決めないまま放置しても、
不動産の問題が軽くなることはありません。
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相続放棄は「簡単な逃げ道」ではない
「いざとなったら相続放棄すればいい」
そう考える方もいます。
ただし相続放棄は、
- 期限がある
- 条件がある
- すべての財産を放棄する必要がある
ため、思った以上にハードルが高い制度です。
結果として、
- 放棄できずに相続してしまう
- 管理や税金の負担を引き継ぐ
というケースも少なくありません。
整理されなかった不動産は、
子ども世代、さらにその子ども世代へ
重荷として引き継がれていくことになります。
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だから「処分」ではなく「整理」から始めてほしい
ここで大切なのは、
今すぐ売らなければならない
という話ではありません。
- 売る
- 売らない
- 管理する
- 将来に備える
どの選択をするにしても、
元気なうちに、判断できる状態をつくっておくことが重要です。
施設に入るタイミングは、
そのための大きな節目です。
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まとめ|売却の目安は「施設入所」、そして「1年以内」
富山市のような地方では、
- 施設に入ると、生活環境が大きく変わり、認知症が進行することがある
- 意思表示ができなくなると、不動産は動かせなくなる
- 空き家になると、建物は想像以上に早く傷む
といった現実があります。
そのため、施設入所は不動産売却を検討する大きなタイミングになります。
現場の感覚としては、
- 親の意思表示ができる
- 建物の状態がまだ保たれている
入所から1年以内が、
一つの目安になることが多いと感じています。
もちろん、
「必ずその期間に売らなければならない」という意味ではありません。
ただ、何も考えずに時間だけが過ぎると、
選択肢は確実に減っていきます。
だからこそ、
施設に入ってからではなく、
元気なうちから一度考えておくことが大切です。
売る・売らないを決める前に、
状況を整理しておくだけでも、
将来の負担は大きく変わります。
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富山市で、
- 親の施設入所を考え始めている
- 実家が将来空き家になりそう
- 何から手をつければいいか分からない
そんな段階でも、ご相談いただいて問題ありません。
実際、ここ最近でも
施設入所をきっかけにご相談をいただき、
売却に至ったケースが複数あります。
施設入所をきっかけにご相談をいただき、
売却に至ったケースが複数あります。
売る・売らないを決める前に、
現状を整理し、
選択肢を一緒に確認します。
「まだ動けるうちに整理する」
それが、家族全体を守ることにつながります。





